鑑定評価の条件かんていひょうかのじょうけん
不動産の鑑定評価で、対象不動産を確定したり、現実と異なる状態を想定したり、調査の範囲を限ったりするために設定する前提で、不動産鑑定評価基準は対象確定条件、地域要因又は個別的要因についての想定上の条件、調査範囲等条件を定めています。つまり、「何を、どういう前提で評価するか」の取り決めです。
建築中のマンションを担保に、銀行から融資を受けたい会社があるとします。建物はまだ骨組みだけですが、銀行が知りたいのは完成したときの価値です。このとき不動産鑑定士は、「工事が完了したものとして」という前提を置いて評価することがあります。鑑定評価は現実の状態を確かめて行うものですが、依頼目的に応じて、こうした前提を条件として設定できます。条件は、評価の結果を読む人が誤解しないよう、設定できる場合が限られています。

工事の完了を前提に評価することがあります
対象不動産を確定するために必要な条件を、対象確定条件といいます。その一つに、造成に関する工事が完了していない土地、又は建築に係る工事が完了していない建物について、工事の完了を前提として鑑定評価の対象とするものがあります。これを未竣工建物等鑑定評価といいます。竣工とは、工事が完了することです。この場合は設計図書などを集め、法令上必要な許認可が取得され、工事完了の実現性が高いと判断されることが必要です。
地域要因や個別的要因に、想定上の条件を設定できます
基準は、依頼目的に応じ、対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について、想定上の条件を設定する場合があるとしています。現実とは異なる状態を仮に置いて評価するという前提です。設定する条件は、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかに加え、実現性と合法性の観点から妥当なものでなければなりません。
調査範囲等条件は、利用者の利益を害さない場合に限ります
不動産鑑定士の通常の調査の範囲では、価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な価格形成要因があります。地面の下の状態のように、現地を見ただけでは分からない事柄が考えられます。こうした特定の要因について、調査の範囲に係る条件を設定できます。これを調査範囲等条件といいます。設定できるのは、設定しても鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断される場合に限られます。評価書を信じて取引や融資をする人が、知らないうちに危険を負わないようにするためと考えられます。

不動産鑑定評価基準 総論第5章第1節Ⅲ不動産鑑定士の通常の調査の範囲では、対象不動産の価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な特定の価格形成要因が存する場合、当該価格形成要因について調査の範囲に係る条件(以下「調査範囲等条件」という。)を設定することができる。ただし、調査範囲等条件を設定することができるのは、調査範囲等条件を設定しても鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断される場合に限る。
試験ではこう問われる
- 対象建築物に関する工事が完了していない場合でも、当該工事の完了を前提として鑑定評価を行うことがある
- 依頼目的に応じ、対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について、想定上の条件を設定する場合がある
- 不動産鑑定士の通常の調査の範囲では事実の確認が困難な特定の価格形成要因がある場合、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断されるときに限り、調査の範囲に係る条件を設定することができる
- 対象確定条件を設定するときも、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点から、条件設定の妥当性を確認する
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