区分所有建物の説明事項くぶんしょゆうたてもののせつめいじこう
取引する建物が区分所有建物(分譲マンションの一室など)であるときに、重要事項説明で追加して説明する、一棟の建物とその敷地の権利・管理・使用に関する事項です(35条1項6号、施行規則16条の2)。つまり、マンションを買う人・借りる人に、建物全体のルールとお金の状況を契約の前に知らせる項目です。
中古マンションの一室を買うとき、手に入るのは自分の部屋だけではありません。廊下やエレベーターなどの共用部分の持分、敷地の権利、それに管理組合のルールと毎月の負担が、部屋と一緒についてきます。そこで35条1項6号は、建物が区分所有建物であるときは、一棟の建物と敷地の権利や管理・使用に関する事項を重要事項に加え、細目を施行規則16条の2に委ねました。区分所有建物とは、一棟の建物を部屋ごとに分けて所有する建物で、各部屋を専有部分といいます。説明する範囲は、売買・交換か、貸借かで大きく変わります。

売買では、建物全体の権利と管理のルールをまとめて説明します
建物の売買・交換では、施行規則16条の2の各号をすべて説明します。主なものは、敷地に関する権利の種類と内容、共用部分に関する規約の定め、専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め、専用庭やバルコニーなど一部の人だけに使わせる専用使用権の規約、修繕積立金の規約と既に積み立てられている額、毎月の管理費用の額、管理の委託先です。敷地の権利と管理費用の額のほかは、「規約の定めがあるとき」や「委託されているとき」に説明する事項で、定めがなければ説明する中身もありません。条文に理由は書いていませんが、区分所有者になると規約と管理組合の決定に従い、費用を負担し続けるので、買う前に全体を知らせる必要があると考えられます。
建物の貸借では、利用の制限と管理の委託先だけを説明します
施行規則16条の2の柱書は、建物の貸借の契約では3号と8号だけを説明するとしています。3号は専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めで、事業用の禁止、ペットの飼育やピアノの使用の禁止などが当たります。8号は一棟の建物と敷地の管理の委託先の氏名と住所で、法人なら商号又は名称と主たる事務所の所在地です。条文に理由は書いていませんが、借主は修繕積立金や管理費を負担する立場になく、部屋の使い方のルールと、困ったときの連絡先が関わるからと考えられます。

規約がまだ案の段階でも、その内容を説明します
共用部分や専有部分の利用制限などの規約の定めには、かっこ書きで「その案を含む」と書かれています。新築の分譲マンションでは、買主が決まる前に管理組合ができていないので、買主に示せるのは業者が用意した規約の案だからです。規約が長いときは要点を書けば足り、規約の写しを添付して該当箇所を示す方法でもかまいません。この説明は契約の前の重要事項説明の事項で、契約後に渡す37条書面の記載事項には、専有部分の利用制限は入っていません。

宅地建物取引業法施行規則 16条の2(柱書・3号)法第三十五条第一項第六号の国土交通省令・内閣府令で定める事項は、建物の貸借の契約以外の契約にあつては次に掲げるもの、建物の貸借の契約にあつては第三号及び第八号に掲げるものとする。…三 区分所有法第二条第三項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容
試験ではこう問われる
- 建物の貸借で説明するのは、専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めと、管理の委託先の二つだけ。「区分所有建物の貸借では利用の制限を説明しなくてよい」は誤り
- 専有部分の利用制限(ペットの飼育禁止など)の規約は、案の段階でも説明する。「案の段階なら説明不要」は誤り
- 専有部分の利用制限は重要事項説明の事項で、37条書面の記載事項ではない
- 売買では、修繕積立金の規約の内容と既に積み立てられている額の両方を説明する
- 管理が委託されているときは、委託先の氏名(法人は商号又は名称)と住所(法人は主たる事務所の所在地)を、売買でも貸借でも説明する
- 敷地に関する権利が定期借地権などの借地権なら、その種類と内容を説明する
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