一般媒介契約いっぱんばいかいけいやく
依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買・交換の媒介や代理を依頼することを許す媒介契約です(34条の2第1項3号)。つまり、何社にも同時に頼める契約で、一社に縛られない代わりに、有効期間の上限、指定流通機構への登録、定期の報告といった専任媒介契約の義務は業者に掛かりません。
自宅を売るとき、A社にもB社にも同時に「買い手を探してほしい」と頼めるのが一般媒介契約です。依頼者は何社に頼んでもよく、自分で見つけた相手と直接契約することもできます。業者から見ると、他社が先に買い手を見つければ報酬は入らないので、一社に任された専任媒介契約ほど重い義務は負いません。それでも媒介契約であることに変わりはないので、契約を結んだら遅滞なく書面を作って記名押印し、依頼者に交付する義務は同じです(34条の2第1項)。

重ねて頼んだ業者を明示する型と、しない型があります
媒介契約の書面には、他の業者に重ねて依頼することの許否と、これを許す場合の「他の宅地建物取引業者を明示する義務の存否」を記載します(34条の2第1項3号)。重ねて頼んだ業者の名前を知らせる約束があるものを明示型、知らせなくてよいものを非明示型と呼びます。明示型では、依頼者が明示していない業者の媒介や代理で契約を成立させたときの措置も、書面に記載します(施行規則15条の9第3号)。国土交通大臣が定める標準媒介契約約款の一般媒介契約は明示型で、非明示型にするときはその旨を特約します。
有効期間・登録・定期の報告は、法律上の義務がありません
有効期間を3月までとする上限(34条の2第3項)、指定流通機構への登録(同5項)、業務の処理状況の定期の報告(同9項)は、どれも条文が「専任媒介契約」について定めたものです。一般媒介契約にはこれらの定めがなく、有効期間を6か月と定めても、法律には反しません。条文に理由は書いていませんが、依頼者はいつでも他社に頼めるので、一社に縛られる専任媒介契約ほど守る必要がないためと考えられます。義務がないだけなので、業者が任意に指定流通機構へ登録したり、進み具合を定期に報告したりするのは自由です。登録を証する書面を依頼者に引き渡す義務(同6項)も専任媒介契約の登録についての定めなので、任意の登録には掛かりません。

書面の交付と申込みの報告は、一般媒介でも必要です
34条の2第1項は「媒介契約を締結したときは」と書いていて、契約の種類を区別していません。一般媒介でも、物件の表示、売買すべき価額、有効期間と解除、指定流通機構への登録に関する事項、報酬、標準媒介契約約款に基づくものか否かの別などを記載した書面を、業者が記名押印して交付します。既存の建物なら、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項も記載します。価額について意見を述べるときに根拠を明らかにする義務(同2項)と、売買や交換の申込みがあったときに遅滞なく依頼者へ報告する義務(同8項)も、媒介契約に共通の定めなので一般媒介に及びます。
宅地建物取引業法 34条の2第1項3号(媒介契約の書面の記載事項)当該宅地又は建物について、依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することの許否及びこれを許す場合の他の宅地建物取引業者を明示する義務の存否に関する事項
試験ではこう問われる
- 一般媒介契約でも34条の2第1項の書面は交付する。記名押印するのは業者で、取引士の記名は要らない
- 書面には売買すべき価額も、標準媒介契約約款に基づくものか否かの別も記載する。一般媒介契約だから省ける事項ではない
- 指定流通機構への登録義務はない。「一般媒介契約を締結したら登録しなければならない」は誤り
- 有効期間の上限も定期の報告の義務もない。3か月と定めることも、任意に14日に1回報告することも違反ではない
- 価額について意見を述べるために行った査定の費用は、依頼者に請求できない
- 購入の申込みがあったときは、一般媒介契約でも、依頼者が宅地建物取引業者でも、遅滞なく報告する
- 購入の媒介を頼まれた一般媒介契約でも、依頼者である買主への書面の交付は必要
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