登記上の利害関係を有する第三者とうきじょうのりがいかんけいをゆうするだいさんしゃ
これからする登記によって、登記記録の上で不利益を受ける立場になる第三者です。権利に関する登記の抹消、抹消された登記の回復、所有権の仮登記に基づく本登記は、この第三者の承諾があるときに限り申請できます。
Aの所有権の登記を抹消しようとするとき、Aから抵当権の設定を受けていた銀行はどうなるでしょうか。所有権の登記が消えれば、その上に載っている抵当権も土台を失います。この銀行のように、登記がされると登記記録の上で不利益を受ける第三者を、登記上の利害関係を有する第三者と呼びます。申請人どうしの合意だけで第三者の権利が消えては困るので、法律は場面ごとに、第三者の承諾があるときに限って登記を申請できると定めています。条文に定義はありませんが、利害関係があるかどうかは登記記録の上で形式的に判断され、実際に損をするかどうかまでは問わないと解されています。

登記の抹消は、第三者の承諾があるときに限り申請できます
68条は、権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、その第三者の承諾があるときに限り申請できると定めています。承諾を証する情報を添付すれば、第三者がいても抹消を申請できます。裏返せば、承諾が得られない限り、抹消の申請そのものができません。
所有権の仮登記に基づく本登記も、第三者の承諾があるときに限ります
仮登記に基づいて本登記をすると、本登記の順位は仮登記の順位によります(106条)。仮登記の後に所有権を取得した者や抵当権の設定を受けた者は、本登記がされると自分の登記が後れることになり、登記官が職権でその登記を抹消します(109条2項)。そこで109条1項は、所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合にはその承諾があるときに限り申請できると定めています。承諾が要るのは所有権に関する仮登記の本登記で、抵当権など所有権以外の仮登記の本登記には、この規定はありません。

抹消された登記の回復も、第三者の承諾があるときに限り申請できます
誤って抹消された抵当権の登記を回復すると、抹消されていた間に登記をした者の順位が後ろに下がります。そこで72条は、抹消された登記(権利に関する登記に限る)の回復は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合にはその承諾があるときに限り申請できると定めています。抹消(68条)、本登記(109条1項)、回復(72条)の三つは、同じ言い回しで第三者の承諾を申請の条件にしています。
権利の変更・更正の登記は、承諾がなくても主登記ならできます
権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合と第三者がいない場合に限り、付記登記ですることができます(66条)。付記登記は元の登記の順位を引き継ぐので、後順位の第三者に不利益が及ぶからです。承諾が得られないときは、登記ができないのではなく、順位を引き継がない主登記で行います。抹消・回復・本登記では承諾がないと申請自体ができないのに対し、変更・更正では登記の形が変わるだけという違いがあります。
不動産登記法 68条権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
試験ではこう問われる
- 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合、その承諾があるときに限り申請できる(109条1項)
- 本登記をするとき、登記官は職権で第三者の権利に関する登記を抹消する(109条2項)
- 権利に関する登記の抹消も、第三者の承諾があるときに限り申請できる(68条)
- 抹消された登記の回復も、第三者の承諾があるときに限り申請できる(72条)
- 権利の変更・更正の登記は、承諾があるか第三者がいなければ付記登記、承諾がなければ主登記でする(66条)
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