事業地内の制限じぎょうちないのせいげん
都市計画事業の認可又は承認の告示があった後に、その事業地内で、事業の施行の障害となるおそれがある建築などに都道府県知事等の許可を求め、土地建物等を有償で譲り渡すときに施行者への届出を求める制限です。つまり、工事が始まる土地に新しい障害物ができるのを防ぎ、施行者が土地を先に買い取れるようにする仕組みです。
都市計画で決まっていた道路が、いよいよ造られることになりました。事業の認可が告示されると、道路になる土地の範囲(事業地)がはっきりし、施行者による用地の買収が始まります。この段階で事業地の中に新しい建物が建ったり、土地が次々に転売されたりすると、工事も買収も進まなくなります。そこで都市計画法は、告示の後の事業地に、建築などの制限と、土地建物等を売るときの届出という二つの制限を掛けています。

告示の後は、建築も土地の形質の変更も知事等の許可が要ります
事業の認可又は承認の告示があった後は、事業地内で、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更、建築物の建築その他工作物の建設、重量が5トンをこえる移動の容易でない物件の設置や堆積を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければなりません(65条1項)。都道府県知事等とは都道府県知事のことで、市の区域内では市長です。知事等は、許可を与えようとするときは、あらかじめ施行者の意見を聴きます。工事の邪魔になるかどうかをいちばんよく知っているのは、事業を進める施行者だからです。
計画段階の制限より対象が広く、非常災害の例外もありません
事業の認可の前、都市計画施設の区域や市街地開発事業の施行区域として計画に載っているだけの段階では、制限の対象は建築物の建築だけで、非常災害のため必要な応急措置として行う行為などは許可が要りません(53条1項)。認可の告示があると、この制限は適用されなくなり、事業地内の制限に切り替わります。事業地内の制限は、土地の形質の変更や工作物の建設、物件の設置・堆積まで対象が広がり、条文に非常災害の応急措置を除く定めもありません。着工が目の前に迫っているので、事業の障害になるおそれがある行為は一つずつ許可で確かめる、という作りです。

土地建物等を有償で譲り渡すときは、施行者に届け出ます
告示があると、施行者は速やかに必要な事項を公告します。この公告の日の翌日から起算して10日を経過した後に、事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、その土地建物等、予定対価の額、譲り渡そうとする相手方などを、書面で施行者に届け出なければなりません(67条1項)。届出があった後30日以内に施行者が買い取る旨を通知すると、届出書の予定対価の額で、施行者と届出をした者との間に売買が成立したものとみなされます。これを土地建物等の先買いといいます。施行者はいずれ用地を取得するので、第三者に渡る前に、同じ値段で先に買える機会を置いています。届出をした者は、この30日の間(買い取らない旨の通知があればその時まで)は、土地建物等を譲り渡してはなりません。

都市計画法 65条1項第六十二条第一項の規定による告示又は新たな事業地の編入に係る第六十三条第二項において準用する第六十二条第一項の規定による告示があつた後においては、当該事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない。
試験ではこう問われる
- 事業の認可等の告示があった後、事業地内で、事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更、建築物の建築その他工作物の建設、重量5トンをこえる物件の設置・堆積を行おうとする者は、都道府県知事等(市の区域内は市長)の許可を受ける(65条1項、施行令40条)
- 事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、予定対価の額や相手方などを書面で施行者に届け出る(67条1項)。「施行者の許可を受けなければならない」は誤り
- 届出の後30日以内に施行者が買い取るべき旨を通知すると、予定対価の額で売買が成立したものとみなす(67条2項)
- 事業の認可等の告示があった後は、都市計画施設の区域等の建築の許可(53条)は適用されず、65条の制限に切り替わる(53条3項)
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