自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限じこのしょゆうにぞくしないたくちたてもののばいばいけいやくていけつのせいげん
宅地建物取引業者が、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む)を締結してはならないという制限です(33条の2)。つまり、他人の物件を、手に入る確かな裏付けがないまま業者でない買主に売ることを禁じています。
民法では、他人の物を売る契約も有効で、売主は所有者から権利を取得して買主に移す義務を負います(民法561条)。けれども、所有者が売ってくれなければ、買主は契約をしたのに家が手に入らないことになります。業者がこの危ない売り方をして業者でない買主が損害を受けるのを防ぐため、宅地建物取引業法は、自己の所有に属しない宅地建物を自ら売主として売る契約を、原則として禁じました。売買契約だけでなく、売買の予約も禁じられています。自ら売主の制限の一つなので、買主が業者なら適用されません(78条2項)。

物件を取得する契約を結んでいれば、売ることができます
33条の2第1号は、業者がその宅地建物を取得する契約を締結しているときを例外としています。所有者との間で売買契約を結んでいれば、登記や引渡しがまだでも、業者は物件を取得できる立場にあるからです。取得する契約は予約でもかまいません。買主に売る契約は予約でも禁じられ、所有者から取得する契約は予約でも例外に当たる、という違いがあります。同じ1号は、このほかに、開発許可を受けた工事で公共施設の用地が業者のものになることが確実なときなど、業者が物件を取得できることが明らかな場合として省令で定めるときも、例外にしています(施行規則15条の6)。
取得する契約に停止条件が付いていると、例外になりません
取得する契約のうち「その効力の発生が条件に係るもの」は、例外から除かれています(33条の2第1号)。確定測量図の交付を停止条件とする売買契約や、農地法5条の許可を条件とする売買契約は、条件が成就するまで効力が生じません。条件が成就しなければ業者は物件を取得できず、買主に引き渡せないままになります。そのため、条件が成就する前は、業者は自ら売主として売る契約を結べません。

未完成物件は、手付金等の保全措置を講じていれば売れます
33条の2第2号は、もう一つの例外として、その売買が工事完了前の物件の売買(41条1項に規定する売買)に当たり、手付金等の保全措置が講じられているときを挙げています。造成前の宅地や建築前の建物は、まだ出来上がっていない物件です。条文に理由は書いていませんが、物件が完成しなかった場合でも、保全措置があれば買主は支払った手付金等の返還を受けられるためと考えられます。
宅地建物取引業法 33条の2宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。一 宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているときその他宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令・内閣府令で定めるとき。 二 当該宅地又は建物の売買が第四十一条第一項に規定する売買に該当する場合で当該売買に関して同項第一号又は第二号に掲げる措置が講じられているとき。
試験ではこう問われる
- 自己の所有に属しない物件は、売買契約だけでなく売買の予約も締結できない。「予約を行うことはできる」は誤り
- 物件を取得する契約(予約を含む)を締結していれば、自ら売主として売買契約を締結できる
- 取得する契約が停止条件付きのときは、条件が成就する前に自ら売主として売買契約を締結すると違反
- 買主が宅地建物取引業者なら33条の2は適用されず、他人が所有する宅地でも自ら売主として売買契約を締結できる
- 買主が宅地建物取引業者の取引では、取得する契約の締結も手付金等の保全措置も、契約を締結するための要件にならない
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