クーリング・オフくーりんぐおふ
宅地建物取引業者が自ら売主となる売買で、業者でない買主が事務所等以外の場所で買受けの申込みをしたとき、書面で告げられた日から起算して8日以内なら、書面で申込みの撤回や契約の解除ができる制度です(37条の2)。つまり、落ち着かない場所で申し込んだ買主に、頭を冷やして考え直す期間を保障します。
休日に喫茶店で営業を受け、その場の勢いで「買います」と言ってしまった。家に帰って冷静になると、やはり無理だと思う。こういう買主を守るのがクーリング・オフです。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買で、買主が業者の事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合に、書面で告げられた日から起算して8日以内なら、理由なしに書面で撤回や解除ができます。業者は損害賠償や違約金を請求できず、受け取った手付金などを速やかに返します。買主が業者なら適用されません(78条2項)。

使えるかどうかは、申込みをした場所で決まります
撤回できるのは、事務所等以外の場所で申込みをした人です。事務所等とは、業者の事務所のほか、専任の取引士を置くべき場所のうち継続的に業務を行える施設、土地に定着する建物内に設けた案内所や展示会場、それに買主が自分から申し出た自宅や勤務先で、施行規則16条の5が定めています。落ち着いて判断できる場所かどうかで線を引いていると読めます。見るのは申込みの場所で、契約の場所ではなく、事務所で申し込んだ後に喫茶店で契約した買主は撤回できず、逆に喫茶店で申し込んだ後に事務所で契約した買主は撤回できます。自宅や勤務先が事務所等に当たるのは、買主の側からそこで説明を受けると申し出た場合だけで、業者の申出で買主の自宅や勤務先に出向いた場合や、買主が申し出た場所が喫茶店やホテルのロビーだった場合は、事務所等に当たらず、撤回できます。業者が他の業者に売却の代理や媒介を依頼したときは、依頼を受けた業者の事務所なども事務所等に含まれます。

8日は書面で告げられた日から数え、告げなければ進みません
業者が撤回できる旨とその方法を書面で告げると、その日を1日目として数え、8日を経過すると撤回できなくなります。告げるのは業者の側なので、告げていなければ期間はいつまでも進まず、撤回できる状態が続きます。ただし、買主が物件の引渡しを受け、かつ代金の全部を支払ったときは、告げられていなくても撤回できません。引渡しと全額支払の両方がそろって初めて閉じるので、代金を全部払っていても引渡し前なら、まだ撤回できます。告げ方は、買主の氏名と住所、売主である業者の商号・住所・免許証番号、撤回できる旨とその効果などを記載した書面を交付する方法に限られます(施行規則16条の6)。口頭で伝えただけでは、8日は進みません。
撤回は書面で行い、書面を発した時に効力が生じます
撤回や解除は書面で行い、買主がその書面を発した時に効力を生じます(37条の2第2項)。条文は「書面により」と定めていて、電子メールなどの電磁的方法による撤回は認められていません。8日目にポストに入れれば、業者に届くのが9日目でも間に合います。撤回された業者は損害賠償や違約金を請求できず、手付金などを速やかに返さなければなりません。これらより買主に不利な特約は無効です(37条の2第4項)。

宅地建物取引業法 37条の2第1項宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
試験ではこう問われる
- 事務所等以外の場所で申込みをした買主だけが撤回でき、「いかなる場所で申し込んでも撤回できる」は誤り。見るのは申込みの場所で、事務所等で申し込んで事務所等以外で契約した買主は除かれ、喫茶店で申し込んで事務所で契約した買主は撤回できる
- 自宅・勤務先が事務所等になるのは買主が自ら申し出たときだけ。業者の申出で出向いた自宅や、買主が申し出た喫茶店・ホテルのロビー・取引銀行は事務所等でない
- 期間は書面で告げられた日から起算して8日。告げるのは書面の交付に限られ、口頭や電磁的方法の告知では期間は進まない
- 引渡しを受け、かつ代金の全部を支払ったときは撤回できない。片方だけならまだできる
- 撤回は書面で行い、発した時に効力。「到達した時」は誤り。電磁的方法による撤回はできない
- 業者は損害賠償・違約金を請求できず、手付金等を速やかに返す。「手付金は返還しない」など買主に不利な特約は無効
- 買主が宅建業者なら適用されない(78条2項)
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