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相隣関係そうりんかんけい

権利関係 民法(物権・抵当権) 過去問で7肢

隣り合う土地の所有者どうしが、互いの土地の利用を調整するために民法が定めた決まりの総称です。隣地の使用、公道に至るための他の土地の通行権、電気・ガス・水道の設備の設置、越境した枝の切除などがあります。

自分の土地が他人の土地に囲まれていて、道路に出るには隣の土地を通るしかない。隣の木の枝が塀を越えて伸びてきて、落ち葉で雨どいが詰まる。土地は必ず隣の土地と接しているので、こうした場面では、お互いに少しずつ譲り合わなければ土地を使えません。民法は、隣り合う土地の所有者どうしの調整の決まりを相隣関係として定めています。令和5年4月施行の改正で、隣地の使用、電気・ガス・水道の設備の設置、越境した枝の切取りの決まりが見直されました。

隣り合う土地は、通行や工事、枝の切除でお互いに譲り合う。
隣り合う土地は、通行や工事、枝の切除でお互いに譲り合う。

袋地の所有者は、囲んでいる土地を通行できます

他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができます(210条1項)。通行の場所と方法は、通行権を有する者のために必要で、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならず、好きな所を通れるわけではありません(211条1項)。通行する土地の損害に対しては、償金を支払います(212条)。共有物の分割や土地の一部の譲渡によって袋地ができたときは、分割や譲渡の当事者の土地だけを通行でき、この場合は償金を支払う必要がありません(213条)。条文に理由は書いていませんが、当事者の間で生じた問題を、関係のない周りの土地の所有者に負担させないためと考えられます。自動車による通行が認められるかどうかは、判例によれば、自動車で通行する必要性や周辺の土地の状況などを総合して判断されます。

分割でできた袋地は、他の分割者の土地だけを、償金なしで通行できる。
分割でできた袋地は、他の分割者の土地だけを、償金なしで通行できる。

工事や測量のために、必要な範囲で隣地を使えます

土地の所有者は、境界やその付近での塀や建物の築造・収去・修繕、境界標の調査や境界に関する測量、越境した枝の切取りのため必要な範囲内で、隣地を使用することができます(209条1項)。ただし、住家には、その居住者の承諾がなければ立ち入ることができません。使用の日時、場所、方法は、隣地の所有者と隣地を現に使用している者のために損害が最も少ないものを選びます。あらかじめ、目的、日時、場所、方法を隣地の所有者と隣地を現に使用している者に通知するのが原則で、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を始めた後、遅滞なく通知すれば足ります(同条3項)。隣地の所有者などが損害を受けたときは、償金を請求できます。

越境した枝は切らせるのが原則で、根は自分で切り取れます

隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に枝を切除させることができます(233条1項)。枝は隣の人の物なので、まず切ってもらうのが原則です。ただし、竹木の所有者に切除するよう催告したのに相当の期間内に切除しないとき、竹木の所有者やその所在を知ることができないとき、急迫の事情があるときは、土地の所有者が自分で枝を切り取ることができます(同条3項)。隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、催告をしなくても自分で切り取ることができます(同条4項)。

催告しても切ってくれないときは、越境した枝を自分で切り取れる。
催告しても切ってくれないときは、越境した枝を自分で切り取れる。

電気・ガス・水道を引くために、他の土地に設備を設置できます

土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス、水道水の供給などの継続的給付を受けられないときは、必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人の設備を使用することができます(213条の2第1項)。場所と方法は、他の土地や他人の設備のために損害が最も少ないものを選び、あらかじめ、目的、場所、方法を他の土地などの所有者と他の土地を現に使用している者に通知します。他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害に対して償金を支払います。令和5年4月施行の改正で設けられた決まりです。

民法 210条1項

他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

試験ではこう問われる

  1. 通行の場所と方法は、通行権者のために必要で、かつ他の土地のために損害が最も少ないものを選ぶ。囲んでいる土地を自由に選んで通行することはできない
  2. 共有物の分割で袋地が生じたときは、他の分割者の所有地だけを通行でき、償金を支払う必要がない
  3. 自動車による通行を前提とする通行権も、事情によっては認められる
  4. 囲んでいる土地の所有者が替わっても、時効取得によるときでも、袋地の所有者は通行できる
  5. 境界に関する測量などのために隣地を使用できる場合でも、住家には居住者の承諾がなければ立ち入れない
  6. 越境した枝は、竹木の所有者に催告しても相当の期間内に切除しないときは、自分で切り取ることができる
  7. 相隣者の一人は、他方の承諾がなくても、共有の障壁の高さを増すことができる(231条1項)
権利関係を肢別で解く

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